経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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金融界で今話題のニュースは、創業108年で初めて財務情報を公開したシャネル。これまでも同業他社との比較などで、いろいろな数字が取りざたされていましたが、公式には初めて。ただ、数字は大体予測通りで、単独ブランドとしてのルイ・ヴィトンと同じくらいだろうと言われていたところ、実際その程度で2017年の売り上げがほぼ100億ドル≒1兆1千億円と発表されました。
ちなみに、ルイ・ヴィトンは親会社がしばしばルイ・ヴィトングループと呼ばれるのでややこしいのですが、持ち株会社のLVMHはシャネルと同業の服飾ブランドで言うと、ルイ・ヴィトンの他に、セリーヌ、フェンディ、ディオールなどを傘下に置き、その他の業種ではシャンパンのモエ、ブランデーのヘネシーなども傘下に置く、ある種のコングロマリットです。
日本企業で言うと、シャネルの1兆1千億円の売り上げは上場企業ランキングでも130位台の規模で、日本航空がやや上回って1兆2千億円、京セラが1兆4千億円でそれぞれ110番台。三越伊勢丹ホールディングスが120位で1兆2千億円ですから、108年前に帽子屋からスタートし、今や香水の一大ブランドにして、その他化粧品、宝飾ブランド品などで商売をやり、日本の全国百貨店である三越などと同じ規模の売り上げを達成するというのはある意味すごい話です。