年齢を重ねてから親になると、最大の教育費がかかる子どもの大学入学を前に、定年退職を迎えることもありうる。そんな恐ろしいことが将来起きるが、直視していない人は多いだろう。出費の優先順位、働き方を考えて備えないと、手遅れになる。
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アエラが行ったアンケートに、46歳で第1子が誕生した男性(51)はこんな声を寄せた。
「60歳の定年時に、子どもはお金がかかり始める15歳。世帯収入が右肩下がりの中で、教育費等を捻出できるのか心配。夫婦どちらかが病気をしたら、生活費すらあやしくなりそう」
年を重ねてから親になると、大きな不安が金銭面だ。「収入がないのに教育費はピーク」という局面が訪れる人もいる。
39歳と41歳で出産したパート勤務の女性(44)は、「夫の退職金は、子どもの教育費と住宅ローンの返済にいく予定」なので、定年退職後も働けるよう鍼灸師の資格を取得した。
学資保険に加入し、貯蓄や節約を心がけている家庭は多い。一方で、「まずいと思っているが、対策はしていない」「お金のことまで手がまわらない」という声も。
そもそも40代以上で親になることは、家計面でどうリスキーなのだろうか。ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんはこう指摘する。
「やはり老後資金を貯められる期間が短い。対策を講じないと老後の生活が厳しくなる可能性が高い」
氏家さんによると、貯蓄の好機は、子どもが小学校を卒業するまでだ。共働き家庭で、子どもが保育園に通う場合は、保育料が安くなる3歳から小学校卒業までがベストな時期。加えて、子どもが大学を卒業してから定年を迎えるまでの期間。しかし、アラフォー以降で親になると、子どもが大学を卒業するとすぐに老後がやってきたり、子どもの大学入学前に定年のほうが先にやってきたりするのだ。
子どもの大学入学前に、一家の稼ぎ頭が定年退職を迎える家庭の家計は深刻だ。文部科学省の調査によれば、私立大学の初年度学生納付金は、平均131万6816円。学費や生活費を合わせると、1年間に200万3900円かかるという調査もある。
「これを年金から払っていくのは困難。教育資金と自分たちの老後資金それぞれを貯めておかないと、老後資金を崩して教育費にあてることになります」(氏家さん)