会社員時代に朝の番組を担当していたときは、深夜2時に出社するような不規則な生活でした。それが京都に来てからは、穏やかな生活になりましたね。結婚したのが30歳で、ずっと不規則な生活をしていたこともあって、体の免疫や健康バランスには自信がなかったので、実は、子どもを授かれるかわからないという不安もありました。祐一さんとも「子どもはいたら楽しいと思うけど、2人だけで過ごす人生もきっと楽しいよね」という話をしていたので、絶対に何人欲しいということも決めていませんでした。でも、1人目を意外と早く授かることができて、2人目は時間が空いてしまったので少し焦ったけれど、3人目もすぐに授かることができた。改めて、とても幸運だったと思います。
――福永さんはジョッキーという仕事柄、家を空ける時間も長かったと思います。3人の子どもを「ワンオペ」で育児する時間が長いことは大変だったと思いますが、イライラや不満はたまらなかったですか。
もちろん、もう目が回るような日々で、声を大にして言いたいですが……女性にはみんなホルモンバランスの問題があるんです!
産後は体も心もすぐには戻らないんです。産む前には自分でできたことができなくなったり、でもやることはたくさん増えて、悲しくなったり、日々の小さいストレスはたまっていきます。私の場合は、3人目を産み終わってから、本屋さんの仕事(松尾さんが起業した「SENSE OF WONDER 」)などを始めることで、少しずつ、家事育児以外にも熱中することをつくって取り組めたことも、ちょうど良かったのかもしれません。やりたいと思うことがたまたま仕事という形でしたが、それは人によって、習い事だったり新しい挑戦だったり、自分の時間を取ることかもしれない。それは大切にしてほしいです。
外で仕事をする時間を取ることで、シッターさんに子どもを任せることもできるようになりました。それまではやはりどこか抵抗感があったのですが、無理がたたってぎっくり腰をしたりして……実家も遠い私は「もうこれは1人で全部をこなすのは無理だ」と白旗を上げることにしました。そうしたら信頼できるシッターさんを見つけることもできたし、時には誰かに「任せる」ことができるようになって、次の仕事も受けられるという好循環ができました。家事や育児はどこまでやっても終わりが見えないものですが、仕事には一応のゴールがあって達成感が味わえる。仕事復帰することには、祐一さんも「いいと思うよ」と言ってくれました。不満をためて爆発しないためにも、仕事でスイッチを切り替えられることは、私にとってはすごく必要なことだと思っています。