
西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、西武の松井稼頭央監督と松坂大輔臨時コーチに期待を寄せる。
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宮崎でキャンプを張る西武、ソフトバンクの陣営をあいさつがてら回ってきた。11日に行った西武は私が監督をしていた時代に大きく成長してくれた松井稼頭央が監督で、1998年ドラフトでクジを引き当てた松坂大輔が臨時コーチを務めていた。
バットを手に、投手、野手とキャンプ地を精力的に回る稼頭央監督を見て、遠慮なくやってくれているなと頼もしく思った。2軍監督、そして1軍のヘッドコーチを務めた後だからチームを掌握している。やはり今の監督は、1、2軍の全員の特徴をつかんで、その選手がどこなら1軍で使えるかを考えられるような監督でないと、年間を乗り切れない。今はコロナで突然、試合出場ができない事態も想定されるから、なおさらである。
大輔は11日が臨時コーチ初日だったこともあり、じっくり観察していた様子だった。どういう言葉で、どのタイミングで話してあげるのが良いかというものは非常に難しいと感じたと思う。伝える側の責任というのかな。そのひと言ですべてのバランスが崩れてしまうことだってあるから、ここまでいろいろなことを考えて実践してきた大輔は、引き出しの多さがコーチングの上で邪魔になることだってあるだろう。
ただ、彼には人をひきつける魅力がある。選手に落ち着きを与えるというのかな。今の若い子たちが臆せずいろいろなことを聞いていたことを見ると、いずれ「臨時」ではなく、コーチ、監督を務めてほしいなと感じた。
キャンプにファンが戻ってきたことも活気を生んでいる。きついキャンプもファンの方々の目があることで、いつも以上にパワーが出ると実感しただろう。誰にも見られることなく、黙々と練習するのとは、また違った刺激があるはず。選手もよく声が出ていた。声を出すということはエネルギーを使う。よく声が出るということは、外に発散するほとばしるエネルギーがあるということだ。かつてキャンプを回ったときに、活気のあるチームほど、飛躍するんじゃないかと考えていた。