えっ? 頭が真っ白になった。

「私自身、先が読めない中でキャリアアップの道を模索しているのに『両親の余命はどのくらいかはっきりして』と言われているようでした」

 女性は現在、転職先を探しているがまだ見つかっていない。

 アンケートからは、仕事や子育てとのはざまで追い詰められている人々の姿が浮かび上がる。

「認知症の親の介護をしながら、出産。良性腫瘍の摘出手術もした」(43、女性)

「遠距離なので、容体の急変で帰省したり、説明もほとんど受けないまま医療的措置の選択を迫られる。治療方針について毎日誰かと1、2時間電話している」(59、女性、派遣社員)

 共働きで2人の子どもを育てながら8年間父親の介護をした男性(55、静岡県)は、「車の走行距離は毎年2万キロを超えていた」と振り返る。実家の近くには公共交通機関がなく、男性はほぼ毎日、仕事の行き帰りに通った。連日の残業に海外出張も頻繁にあった。自宅と実家双方の自治会の役員が回ってきたり、妻や子どもが入院したりというピンチにも遭遇。

「毎日睡眠は1、2時間。よく生きていたと思います」(男性)

(編集部・石臥薫子、柳堀栄子、高橋有紀)

AERA 6月4日号より抜粋

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