回答欄は切実な声で埋め尽くされた(※写真はイメージ)
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 AERAが実施した介護に関するアンケートには40、50代から多くの回答が寄せられた。仕事や子育てとの両立の難しさ、認知症ケアの不安、相談相手がいないつらさ──。回答欄は切実な声で埋め尽くされた。

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 開いたと思った扉は手をかけようとした瞬間、バタンと閉じられた。10年以上パートで働いてきた会社でやっと短時間正社員になれると思った矢先。

「マミートラックならぬ介護トラックに乗せられてしまった」

 都内に住む女性(49)はアンケートにそう回答した。父親(82)は「要介護5」。寝たきりで意思の疎通もままならない。介護する母(77)も「要支援」。両親のサポートと中学生になる娘の子育てと仕事を、女性は必死にやりくりしてきた。

 がんやリウマチを患う義理の両親の分も含め、今後介護費用がかさむのは必至。正社員になれば雇用も安定し給与も上がると期待していた。ただ短時間正社員は週2日以上、通勤に3時間近くかかる本社に通うことが条件。人事面談で「父の介護度が重くなり、条件を確実にクリアできるか判断がつかない」と話すと、こう言われた。

「パートのままで勤務時間も月80時間まで減らしましょう」

 閑職に回され、シフトも月80時間どころか40時間程度にまで減らされた。数カ月後、父の施設入所が決まったと報告すると社長は言った。

「それってグッドニュースなの、バッドニュースなの?」

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