「脳梗塞の主な原因として不整脈や動脈硬化が挙げられます。心臓の動脈硬化や不整脈は心不全の原因にもなりますから、脳梗塞と心不全を併発するケースは珍しくありません」
日本脳卒中協会専務理事の中山博文医師も、脳梗塞と心臓病には多くの共通するリスクファクターがあると説く。
「ノルウェーのデータでは、脳卒中患者の約2割が心臓や脳などの血管障害が原因で再入院している、との報告もあります。脳梗塞を経験した患者さんは、将来心臓病になるリスクも高いことを肝に銘じ、脳梗塞の背景要因にある高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などに注意を払い、生活習慣の改善を図ることが欠かせません」
西城さんは、「今まで通り年間70本のステージをこなす」ことを目標に、右半身のまひと言語障害の後遺症のリハビリに精力的に取り組んだ。マシンを使った筋トレのほか、整体や鍼、ボイストレーニングを日課にしていたという。
泉医師は「リハビリが問題ということはありません」と強調しつつ、注意も必要と言う。
「普段と同じリハビリをしていても胸が苦しくなったり、息が切れたり、といった自覚症状に気づいたときは、循環器科での早めの受診をお勧めします」
西城さんは日本脳卒中協会の市民講座などで講演も引き受けていた。中山医師は言う。
「アイドルとして活躍されていた方が、私たちと一緒に年を重ね、病気になられても頑張っておられる。そんな姿が多くの患者さんやご家族の励みになっていました」
憂鬱(ゆううつ)など吹き飛ばして/君も元気出せよ。「YOUNG MAN」の歌詞が、前向きな生き方を貫いた西城さんの姿と重なる。(編集部・渡辺豪、川口穣)
※AERA 2018年5月28日号