
サッカー女子日本代表は、2019年W杯の予選を兼ねたアジアカップ(4月6~20日、ヨルダン)で2大会連続で優勝した。完全復活したのか。
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なでしこジャパンはアジアカップを制し、上位5チームに与えられる来年6月開幕のワールドカップ(W杯)フランス大会の出場権を獲得。8大会連続のW杯出場を決めた。
今年2月下旬~3月上旬にポルトガルで開催されたアルガルベカップでは、オランダに2-6で大敗するなど不安定な守備が目立ち、12チーム中6位で終えたなでしこジャパン。アジアカップ前には苦戦も予想されたが、1次リーグを1勝2分けで突破すると、準決勝で中国に3-1、決勝でオーストラリアに1-0と競り勝った。
オーストラリアとの決勝は、スピード、パワーで上回る相手に内容で圧倒される時間帯もあった。だが、チーム全体でハードワークし、ピンチでは体を張ったプレーも随所に見られるなど、1次リーグで1-1と引き分けていたライバルを完封。それが、終盤に途中出場したFW横山久美(24、フランクフルト)の決勝ゴールにつながった。
その勝ち方はお世辞にもカッコよくはなかった。それでも、泥臭く、気持ちのこもったプレーは、かつて世界から称賛された粘り強いなでしこジャパンの復活を予感させた。
なでしこジャパンは過去に澤穂希や宮間あやを擁し、2011年ドイツW杯で優勝すると、12年ロンドン五輪銀メダル、15年カナダW杯準優勝と世界大会で3度続けてファイナリストになるなど黄金期を築いた。しかし、16年のリオ五輪予選での敗退を機に、佐々木則夫前監督が退任。その後は高倉麻子監督のもと世代交代を進めてきたが、かつての強さは影を潜めていた。
だが、黄金期を知るベテランの一人、MF阪口夢穂(30、日テレ・ベレーザ)はアジア王者となった大会をこう振り返った。
「決して相手を圧倒したわけじゃない。決勝は攻め込まれる時間も多くて、すっきり勝った感じではなかった。ただ、ピンチも多かったが、その都度しっかり体を張っていて、(11年に)W杯で優勝したときもこんな感じだったなと思い出した」