会見では、NHKを含めた各メディアの女性記者が相当に食い下がって質問を繰り返していたのが印象的だった。アルコール依存についての質問も飛んだが、山口さんは「アルコール依存症ではないし、その治療のための入院でもありません」と再三にわたって否定した。

 記者たちが依存症を疑ったのは、彼の取った行動が「病的」にみえるからだ。しらふで会見に臨んだ彼は、被害女性と友人や保護者、TOKIOのメンバーやファン、関係者に向けて痛々しいほど謝罪を繰り返した。息遣いがわかるほど間近で聞いていて、心の中で舌を出しながらしゃべっているとは到底思えなかった。しかし「酒を飲んでしまわないように」(山口さん)と入院した病院を出た当日に自宅で酒を飲み、勢いがついて止まらなくなって時間の感覚もなくし、欲望のタガが外れてから目覚めるまでほとんど記憶がない人間が、治療もせずにアルコールに向き合えるようになるとは思えない。

 山口さんはTOKIOとして東京五輪・パラリンピックのフラッグツアーの「スペシャルアンバサダー」を務め、東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後、農産物の安全性をPRする福島県のポスターにも起用され続けてきた。イメージダウンの影響は計り知れない。そして、NHKのEテレでは中高生を中心にしたメンバーが街に出て調査し、スタジオでトークを繰り広げる「Rの法則」の司会者を長年務めてきた。子どもたちに向けた教養番組で、範を垂れるべき存在として認知されてきたのは、本人やTOKIOのメンバーの好感度が背景にあったからに他ならない。

 本人はTOKIOリーダーの城島茂さんに辞表を提出し、ジャニーズ事務所は6日、契約解除を発表した。事務所は「どのような形であれ、未来を描けるまでを具体的に支援するのが弊社の責任」として一定の関係を持ち続ける方針だが、彼がジャニーズに、TOKIOに復帰する日は来るのだろうか。(編集部・大平誠)

AERA 2018年5月14日号