3月6日の記者会見の数時間前、トランプ大統領は自身のツイッターで、「常に完璧さを追求するため、まだ代えたい人たちが何人かいる。これは混乱ではない。活力の話だ」と発信し、政権内の混乱を完全否定した。そして同日夜、経済担当補佐官で国家経済会議委員長のコーン氏の辞職を発表。後任には、保守派コメンテーターのカドロー氏が起用される。

 それから約1カ月の間に、ティラーソン国務長官(後任・ポンペオ中央情報局長官)、マクマスター国家安全保障担当補佐官(同・ボルトン元国連大使)、シュルキン退役軍人長官(同・大統領専属医ジャクソン氏)が相次いで解任された。ジャクソン氏は、トランプ大統領の精神状態について公にお墨付きを与え続けてきた海軍准将。ポンペオ、ボルトン両氏は、トランプ大統領の米国第一主義を地で行く強硬派だ。

 トランプ大統領が強調する「強い米国の復活」の理念には、「強い米国=強い大統領」という極端な思考が見え隠れする。自身が下した決定には絶対の忠誠心を求め、この一線がレッドラインとなり、評価していた人でも切り捨てる。政策重視の人事ではなく、トランプ氏自身への忠誠を「踏み絵」とする人事の色合いが強いように見える。側近であっても安泰ではない現状を見ると、外交関係において、トランプ氏との蜜月関係が国際的にも際立っている安倍晋三政権の日本は大丈夫なのかと不安が出るのも当然だ。

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