

4月1日に施行された酒税法改正で、ビールの定義が110年ぶりに変更された。使用できる副原料が増えたこと、麦芽使用比率が67%以上から50%以上に緩和されたことが大きな変更ポイントだ。これを機に、ビール各社は様々な新商品を打ち出している。
今回の定義変更で違った角度から攻めるのは、サッポロビールだ。同社常務執行役員営業本部長の宮石徹は言う。
「定義変更で日本でも、いろいろなビールを楽しんでもらえる可能性が出てきました。定着するかどうかは、メーカーの提案次第ですけどね」
そして、こだわったのが「苦み」。若い層のビール離れが顕著だといわれるが、その理由を同社は「苦み」とみるのだ。
「これまでにも苦みを薄くしたビールや、果汁などで苦みをマスキングするビアカクテルのような発泡酒が各社から出されていますが、どれも定着したとは言えないのが現状です」
若者がビールを嫌っているわけではないとみているが、いわゆる“さじ加減”が成否を分けるというのが宮石の考え。
「ビールを飲みたいという『あこがれ』はある。ただ、まったく苦みのないものは、『ビールらしくない』と敬遠される。そこで今回は、これまでのビールとは質の違う苦みを追求してみました」
そこで開発した新商品が、4月24日発売の「ビアチェッロ」だ。新たに提案する苦みのカギは、どこにあるのか。
「苦みをつくりだしているのがグレープフルーツとオレンジピールです。さらに香りを引き立たせるために、ホップのなかでも、より個性的なものを、3種類も使いました」
と宮石。原材料費としても高価なうえ、麦芽使用比率も95%以上となっている。そのため参考小売価格も350ミリリットルで288円と、通常のビールよりも高めになるという。
この新商品は、サッポロビール本体ではなく、クラフトビールを手がけている子会社のジャパンプレミアムブリューから発売する。そのため、販売エリアや販売店も限定されることになるという。宮石は控えめに、ただ自信を持って言う。