政府が利用拡大を進めるマイナンバーカード。ポイントほしさの申請者が締め切り日に一気に増えるなどし、政府は「ほぼ全国民」に普及したと胸を張る。しかし、専門家は、セキュリティ対応の不備のほかに、現状では警察や公安への情報提供もできるとし、「法律が十分に整っていない」と指摘している。
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横浜市で3月27日、コンビニでマイナンバーカードを使い、証明書交付サービスを利用した人に、別人の住民票の写し、住民票記載事項証明書、印鑑登録証明書などが誤って発行される問題が起きた。発行されたのは10通で、9人に対し計18人分の情報が流出したという。
市の担当者によると、コンビニ申請をする人が多く、通信に負荷がかかった結果起きたという。担当者は「市民から通報があり、『え? そんなことあるの?』と驚いた」と漏らした。
システムを管理している富士通Japanの広報担当は「高負荷状態におけるテストが不十分だった」と説明した。
東京都練馬区でも3月15日、マイナンバーカードの申請者50人分の氏名と住所が書かれたリストが流出した。マイナンバーカードの再交付の手続きに来た住民に、職員が確認用に使ったリストを誤って渡してしまったという。
「今後、渡す資料に問題がないか、複数の職員でダブルチェックする、名簿は施錠管理できる人のみで扱い、コピーはとらないなど対応を徹底する」(区の担当者)
政府は今回の問題をどう見ているのか。横浜市の情報漏洩問題を受け、河野太郎デジタル相は3月31日の記者会見で「大変重要な問題であり、遺憾」としながらも、こう見解を述べた。
「この問題は横浜市の証明書発行サービスのアプリケーションの問題で、マイナンバーカードそのものや、マイナンバーカードを使った情報連携の仕組みの問題ではない。マイナンバーカードの信頼性に影響するものではありません」
本当に大丈夫なのだろうか。実際、過去にはアメリカで2005年に14万5千人以上の住所やクレジットカードなどの情報が流出する問題などが起きたこともある。専門家はどう見るか。