世はデジタル時代。何が子どもの心を惹きつけているのか。
「ネットやゲームは自分の興味のあるものを手っ取り早く差し出してくれるが、本はページをめくると『これなんだろう』という思いもよらないものと出合う。そこが本の優れている点じゃないでしょうか」(小椋さん)
ただ、運営は楽ではない。市から年24万8千円の補助金は出るものの、車内は冬は寒く、夏は暑い。光熱費で3割ほどが消える。本も年100冊ほど購入するが、中古本も活用。25人いる運営ボランティアの中には親子2代で務める人もいるが、年齢的に親や夫の介護で時間がとれなくなるスタッフも多い。やり繰りしながら続けているのだ。
「車体の魅力だけでなく、やっぱり子どもたちに優良な本を届けようね、とスタッフと確かめあってます」と小椋さん。さまざまな想いも乗せ、電車図書館はこれからも走り続ける。(報道写真家・片野田斉)
※AERA 2018年4月2日号