試合会場の小山市立文化センター小ホール。200席ほどの会場は、プレゼントを選手に渡す女性や、カップル、子連れなど多彩な客層でにぎわっていた。

 プロレスでは、親子ほども年が違う選手がぶつかることも珍しくない。まだあどけなさを残す18歳の香取貴大選手が、FREEDOMSとの対抗戦で、数倍格上の佐々木さんに何度もぶつかっていく。その姿に、小山の観客たちは沸いた。

 隣の茨城県結城市から来た33歳の女性は、「もともとは新日本プロレスのファン。イーグルプロレスはよく来ます。地元でプロレスが観られるのは嬉しい。距離感が近いのがいいですね」と喜ぶ。

 代表の吉田和則さん(46)の姉で団体の運営をスタッフとして手伝っている大賀ゆかりさんは、弟が地元でプロレス団体を立ち上げると聞いたとき「まさか!」と思った。

「それがこんなに長く続くとは。地元の方やスタッフに支えられてここまで来られました」

 吉田さんはプロレスラーを目指し「パイオニア戦志」などの団体で活動するも、デビュー戦で眼底骨折し小山に帰郷。「がんばれ!」と言って送り出してくれた同級生とすれ違うたび恥ずかしい思いを抱えていた。悶々とする日々のなか応援してくれた車いすの少年の言葉を思い出す。

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