平昌五輪では惜しくも5位入賞となったスノーボード女子アルペン・竹内智香選手が「AERA」で連載する「黄金色へのシュプール」をお届けします。長野五輪を観て感動し、本格的に競技をスタートした竹内選手の日々の様子や思いをお伝えします。
* * *
振り返ってみれば、メディアの皆さんにもすごく助けられた平昌五輪までの4年間だったと思います。
先日、私はツイッター上でこう記しました。
「初めて苦しんだシーズン。救いだったのは応援してくださる皆様が最後まで信じてくれたこと、一緒になって前向きで居続けてくれたこと、そして、メディアの皆様にも常に前向きな番組や記事を全国に伝えてくださったこと。それらが5位という結果まで引き上げてくれたのだと思います」(原文のまま)。
大会前、そして大会直後もメディアの方々には世間に向けてポジティブな私を伝えていただいています。取材陣の中には長い付き合いの方もいますし、それぞれが私の性格や人間性をわかっている方々なので、そんな皆さんに報じていただけていることはうれしい限りです。
実際に五輪期間中も、現地に取材に来ていたメディアの方々にたくさんサポートしてもらいました。おいしいレストランを紹介してもらったり、行きたい場所の情報も教えてもらったり。もちろん特定の選手に肩入れした報道はするべきではないでしょうし、私も誰かとだけつながるといった偏った関係をつくってきたつもりはありません。ただ、私のこれまでの取り組みを取材していただけたこと、そして私もカメラマンや記者の方の前では嘘偽りなく答えていたこと。そうした関係性がすごくありがたかったし、最後はメディアの方々も含めたチームだったなと感じます。
メディアへの捉え方はさまざまですが、私は競技者にとって取材を受けることは、ある意味避けては通れないものと思っています。自分が選手として活躍していけば、当然取材を受ける機会は増えるわけです。そこで過度に敬遠する選択は、私の中にはありません。あるものを省こうとするよりも、受け入れたほうがいい。たくさん応援してくれる方々がいて、競技や五輪が成立します。その応援の波を大きくしてくれるのも、メディアの力だと思います。
何より、子どもの頃にテレビや新聞、雑誌で見て憧れた選手を、みんな目指すもの。メディアの力がなければ、ここまで夢を追いかける人たちも多くはないと感じます。普段から取材してくださる方々は、私たちのスポーツ界、そしてアスリート個々の競技人生を支える存在でもあるのです。
(構成/西川結城)
※AERA 2018年3月26日号