「爆発した時の煙の様子からも、黒色火薬を詰めたものだと見当が付いた。現場で木村容疑者を取り押さえたとき、グレーのリュックサックの中には、瓶に詰められた黒色火薬があり、ブルーの手提げ袋からは果物ナイフが見つかった。岸田首相に何らかのダメージを与えたいという強固な意志を感じる」(同)
そして、首相を狙うという点で参考にしようとしたのか、昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件についても調べていたという。
「木村容疑者のパソコンやスマホからは、安倍元首相の銃撃事件関連のニュースやSNSの投稿などにアクセスしていることもわかった。その後、木村容疑者は爆弾に関するサイトに興味を持つようになったようだ」(同)
安倍元首相を狙った山上徹也被告も、木村容疑者も、自分で銃や爆発物を造っていた。
木村容疑者は爆発物を投げた直後、聴衆やSP、警察官らに押さえつけられ、抵抗するようなそぶりはなかった。
この点について前出の捜査関係者は、
「山上被告は安倍元首相を撃った直後に取り押さえられ、身動きが取れなくなった。木村容疑者も犯行に及べば、すぐに取り押さえられることは覚悟の上だったのではないか」
との見方を示す。
ただ、記者の目の前で木村容疑者を取り押さえているSPが「舌を!」と大きな声を上げた。木村容疑者はなんらか声を出そうとしていたのかな、とも思えた。
関係者からは、和歌山県警は当初、威力業務妨害容疑で逮捕したのち、爆発物取締罰則違反、殺人未遂とそれぞれの容疑での逮捕を重ねる方針だったとも漏れ伝わっていたが、爆発物取締罰則違反容疑で再逮捕し、精神鑑定のために留置する見通しだ。
爆発物取締罰則は、1884(明治17)年に制定された古い法令で、治安を妨げたり、身体や財産を害したりする目的で爆発物を使用した場合、死刑か無期懲役、もしくは7年以上の懲役または禁錮に処せられる。
元検事の落合洋司弁護士がこう話す。