岸田文雄首相に和歌山市の雑賀崎漁港で爆発物が投げつけられた事件は4月29日で発生から2週間となる。木村容疑者は一貫して黙秘を続けており、変化はないという。捜査関係者によると、押収品の分析などから木村容疑者は、安倍晋三元首相の銃撃事件を参考にしていた可能性があるようだ。
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事件当日、和歌山県警は木村容疑者の自宅を家宅捜索した。捜査関係者によると、押収したパソコンやスマートフォンの検索、閲覧履歴には、政治に関するものが多数、含まれていたという。
「統一地方選、衆参補選の期間中は毎日数時間、パソコンやスマートフォンで政治関係のサイトを見ていたようだ。岸田首相が和歌山入りするのは報道で知ったようで、その後自民党のホームページなどで何度も確認している。雑賀崎漁港へのルートについても綿密に調べていた形跡がある」
木村容疑者は、バスで雑賀崎に着いてから漁港まで“真っすぐ”歩いて来ているという。
「バス停から漁港までの距離はそう長くはないが、スマートフォンの地図アプリでも分かりにくい階段などもあり、複雑で地元の人以外はすたすた歩いていけるような道のりではない。本当にパソコン、スマホの検索だけで行けたのか、事前になんらかの下見や情報を得ていたのか。さらに詰めている」
また、木村容疑者の一連の犯行は、青い手提げ袋から爆発物を取り出し、ライターのようなもので火をつけ、投げつけるまでが数秒間と、スムーズに行われているといい、
「兵庫県川西市の自宅近くには深い山中もあり、練習を重ねていた“気配”があることも家宅捜索での押収品から見て取れた」(同)。
いずれにしても、木村容疑者が計画的に準備をしていたことがうかがえる。
一方、木村容疑者の所持品などからは、強い犯意も見えてくる。
犯行時、記者は現場に居合わせたが、そのとき見た爆発物は、長さ20cmほどの銀色の筒状のもので、外側に銅線のようなものが出ていたのを覚えている。
木村容疑者は、岸田首相が後ろを向いたときにそれを投げつけた。