「芸術は私にとって世界へのパスポート」と話すヴェガ。次作はストレートの女性として出演。今後は女優業も歌手業も続けていくという(撮影/今村拓馬)
「芸術は私にとって世界へのパスポート」と話すヴェガ。次作はストレートの女性として出演。今後は女優業も歌手業も続けていくという(撮影/今村拓馬)
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東京・シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほかで公開中 (c)2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA
東京・シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほかで公開中 (c)2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA

 最愛の人を失ったトランスジェンダーの女性が、偏見に苦しみながらも自分らしく歩んでいく──。演じたのは、自身もトランスジェンダーであるダニエラ・ヴェガだ。

【映画「ナチュラルウーマン」のワンシーンはこちら】

 自宅のベッドで突然、愛する人の意識が薄れ、亡くなってしまったら、どれほどショックを受けるだろうか。映画「ナチュラルウーマン」の主人公マリーナは愛する人を悼む間もなく、警察や病院にあらぬ嫌疑をかけられ、親族に罵られる。理由は一つ。彼女が年若いトランスジェンダーであるからだ。

 映画は、チリのサンティアゴを舞台に、最愛の人を失ったマイノリティーのマリーナが、親族や警察、病院など様々な人々から差別や偏見に遭いながらも、自分らしく歩んでいく姿を描く。

 マリーナを演じたのは、自身もトランスジェンダーであるダニエラ・ヴェガ(28)だ。彼女自身が男性であることに違和感を持ったのは、5歳の頃だった。13歳で両親にカミングアウトし、14~17歳にかけて性別を変えた。

「幸いなことに両親は私を受け入れ大事にしてくれました。中学は女の子として通い、もちろんいじめも受けたけど、私は私らしく生きることができました」

 子どもの頃から歌の才能を認められ、芸術に興味があった。高校卒業後、ヘアスタイリストとして働きながら、舞台芸術のメイクアップアーティストとしても活動。女優業をスタートさせることになったのは、そのメイクの仕事で舞台に携わった時、演出家に「こうしたら」と意見したことがきっかけだった。

「『君も芝居できるんじゃない』って演出家に言われ、1週間後には舞台に立っていたの。20歳の時よ。今もそのカンパニーに所属しています」

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