
性行為における同意の大切さを伝える「セクシュアル・コンセント(性的同意)」についての教材を4月から大学で配布するプロジェクトが進行中だ。企画したのは、ジェンダーや性暴力について考えるワークショップなどを開催する「一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション」共同代表の大澤祥子(さちこ)さん(26)。大学生自身が中心となって教材を作成・配布するのが特徴で、資金を募るクラウドファンディングでは、目標額を上回る170万円を集めた。
――クラウドファンディングにはどういう人が賛同してくれましたか
自分も嫌な経験をしたという人や教材の対象者となる大学生、教育関係者の人など多様でした。男性も多かったですね。共通するのは、性における同意ってとても大切なことなのにそれを教わる機会がないよね、それはおかしいよね、というところに共感してくださったという点です。
――ハンドブックはどんな内容になりそうですか
同意とは何かを丁寧に解説したいと思っています。例えば、ひとつに同意したからといってすべてに同意したことにはならないということ。キスをしたから、裸になったからといってセックスをすることに同意したわけじゃない。仮に同意があったとしても、お互いの関係が対等であったかどうかが問題です。先生や上司という立場を利用したりされたりしなかったか、また、脅しや暴力、甘い言葉による強制性はなかったかなどです。パーソナルスペースという概念は一般的になってきましたが、性にだってそれぞれバウンダリー(境界)がある。それを勝手に踏みにじるのはやめようよと。
強調したいのは、同意を得る責任はアクションを起こす、つまり性行為を誘う側にあるということです。今はどうやって断るかという点が論じられがちですが、それでは自衛できなかったほうが悪いということになってしまう。同意のない性的言動はすべて性暴力で、被害者にとってそれがどんなトラウマになるのかなども伝えていきたいです。