水間医師が高齢者にアドバイスをしている生活の中でできるリハビリには、次のようなものがあります。なぜいいのかという理由とともに紹介しましょう。(リハビリはやり方によってはけがを誘発することもあるので、安全な方法をきちんと指導しています)
○食事は食卓で取る
普段はソファやベッドで過ごしている人も、食事をするときはできるだけテーブルなどに移動し、椅子に腰かけて、よい姿勢で食事を取ります。
「椅子に腰かけ、立つ動作が、スクワットのような運動になります。食事タイムは1日3回ありますので、その都度、動くことで回数がかせげます。スクワットは腰まわりや下半身の筋力維持に有効です」(水間医師)
○自分でトイレに行き、排泄する
便座に腰かけ、排泄後、立ち上がる動作がスクワット運動になります。
「トイレに行く回数分、スクワット運動をしたことになります。なお、転倒防止のために便座にはできるだけゆっくり腰かけることが大事です」
〇ていねいな手洗い
石けんを使って、指の1本1本までていねいに洗います。コロナ対策で知られるようになった手洗いの方法がおすすめです。
「洗面所で一定時間立って手を洗うことが、からだのバランスを維持する訓練になり、転倒予防につながります。また、手指のまひなどがある場合、指をていねいに洗うことが関節の変形予防になります」
活動性の高い人には次のように洗濯物を干したり、取り込んだりという一連の作業をすすめています。一部の作業だけでも十分に効果があります。
○洗濯物を干す
洗濯物を干すときは、立つ姿勢を保ちながら手を伸ばさなければなりません。実はこの動きが上半身と腕の筋力維持やバランスを維持する練習にもなります。
「洗濯ばさみのついたピンチハンガーを使うとよりいいでしょう。はさみを広げる動きを繰り返すことで、ものをつまんだり、つかんだりする力を維持することができます」
指の力を維持することで、料理をはじめとしたさまざまな日常生活が可能になります。