平昌五輪開会式/「統一旗」を掲げて合同入場する韓国と北朝鮮の選手たち (c)朝日新聞社
平昌五輪開会式/「統一旗」を掲げて合同入場する韓国と北朝鮮の選手たち (c)朝日新聞社
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 開会式での合同行進や聖火リレーも含め、南北融和の演出があちこちに組み込まれた平昌(ピョンチャン)五輪。モスクワ五輪、ロサンゼルス五輪の集団ボイコットなど、五輪の歴史は、いつも政治に翻弄されてきた。

 五輪と政治の関係は、政府による目に見えた介入だけではない。

 米国で圧倒的な人気を誇るフィギュアスケートやスノーボードハーフパイプなどは今大会、午前から昼にかけて実施されている。ちょうど米国のプライムタイム(19~23時)に合わせた時間設定だ。欧州の選手が強いスキージャンプなどは深夜にまで及ぶ。これは欧州各国の夕刻にあたる時間帯と重なる。

 五輪運営を金銭面で支える巨額の放映権料を最も多く支払う米NBC放送は2032年までの権利を持つ最大のスポンサーだ。それだけに、これまでの五輪でも開催国との時差に関係なく、競技時間帯を米国にあわせて設定するほどの政治力を行使してきた。平昌冬季の後も東京夏季、北京冬季とアジアで五輪が続くが、商業主義によって、通常の感覚を維持するのが大変な時間帯での競技を選手に強いるのは、オリンピック憲章に則した大会運営からかけ離れている。

 それでなくても平昌五輪では、極寒、強風、天候不順、ノロウイルスなど、通常よりも過酷な競技環境となった。競技場所選びも選手の視点が必要だ。

「どこまでプレーヤーズファーストでやれているのかは再考の余地があると、多くの人が問題提起している」

 そう語るのは、国士舘大学の波多野圭吾特別研究員(34)。元選手や教育者らで構成する日本スポーツ学会が、平昌や東京五輪を機に立ち上げた「オリンピック・パラリンピック休戦委員会(JOPTA)」の事務局を務めている。

 JOPTAは現在、オリンピック・パラリンピック休戦アピールと題し、大会を通じて世界が平和になるようにと署名活動を展開している。

 国連や国際オリンピック休戦財団の活動と足並みをそろえるものだが、五輪のみならず、パラリンピックの期間中も休戦アピールの対象としているのが日本発の独自の動きだ。前出の笹田さんら元モスクワ五輪代表選手らも多く署名活動の賛同者になっている。これまでに約1500人の署名を集め、平昌五輪でも韓国の組織委員会に提出する。これからも署名活動を続け、東京五輪でも提出する計画だ。

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