「AERA」の連載コラム「ここだけの話」でもお馴染み、地方再生のプロぐっちーさんに地方創生のあり方を聞いた。
【写真】盛岡市「ベアレン醸造所」のビール飲み放題イベントの様子
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ご存じの通り、岩手県紫波町の地方再生に関わり8年。お陰様で紫波町は絶好調で、地価は上がり、税収は増え、商売は順調。誠にめでたい展開になっております。地域に価値をつけるということは、どういうことなのか、改めて考えてみましょう。
「うちも同じようにやりたい」と日本全国からお呼びがかかってお邪魔するわけですが、はっきりいって、はなから勘違いされている知事、市長、県会議員、地元の商工会議所のおっさん、それを調整する役場職員、さらには東京では使い物にならずに、年間300万円の給料をあてにしてやってくる地域おこし協力隊などに取り囲まれれば、この地域に再生はないと断言するしかなくなってきます。
地域の価値を高めることが必要ということは、日本全国どこに行ってもよく聞かれる言葉です。しかし、よくよく話を聞いてみると、地域文化の発展のためにコンサートホールを建てるとか、たくさんの企業が集まるという名目でホールや会議場、宿泊施設などを備えた「MICE施設」を建設するとか、図書館を建てるとか、要するに「補助金でなんとかしよう」という話のオンパレードです。その結果、日本全国に墓標が生まれるのです。青森市の複合商業施設「アウガ」、秋田県立美術館、福岡県久留米市のシティプラザ……その無計画さゆえに赤字を垂れ流し、県民、市民が税金で維持していかねばならない施設が全国に溢れています。この種の公共施設を合わせると、今後50年で更新費用が400兆円ともいわれるわけですから、それはもう笑っていられないのです。
地域の価値はその地域の人々が上げるものだ、ということを今一度しっかり考えてもらいたい。どこの地方の有力者も自分の子どもは東京の大学に行って、立派に東京で働いていると自慢するんですよ……。あんたの息子や娘が帰ってきたくないこの地元に一体誰がやってくるんだよ、と聞きたくなるのです。そのような土地に、政府が年間300万円ものお金を出して、地方移住を推進する(そのプロモーションのために地元住民が東京出張すると交通費プラス滞在費で6万円……。もちろん税金!!)って、どう考えてもおかしいですよね。