その後冬の時代があって、2000年代になってやっと、sacaiの阿部千登勢(52)、UNDERCOVER(アンダーカバー)の高橋盾(48)などが後に続いた。
冒頭の西崎は、言ってみれば「ポストsacai」世代の雄だ。ブランドの立ち上げは09年。当初は売り方がまるで分からず、
「ファッションショーならやり方が分かる」(西崎)
と、まずは14年春夏の東京コレクションに参加したというあたりも「新世代」を感じさせる。2年続けると海外からも声がかかり、15年にはミラノファッションウィーク期間中に展示会を開き、16年には若手デザイナーサポートプログラムの支援を受けてミラノでショーを開催。次々とチャンスをつかんだ。
時期を同じくして、西崎と同様にファッションショーで活躍する若手デザイナーが増え始め、彼らは一足とびに海外を目指した。星の数ほどデザイナーがいる世界という舞台では、日本の高い縫製技術が武器になる。
「海外だと隣に並ぶのは一流ブランド。それに見合う高い技術を持つ縫製工場と契約して、まずはきれいに作る。そしてそれをどう壊して独自性を出していくかというのが、今後の課題です」(同)
(文中敬称略)(編集部・柳堀栄子)
※AERA 2018年1月29日号より抜粋