40代宮司:僕の話は、ちょっと長いです(笑)。祖父は地元の小さな神社の宮司でしたが、父は学校教師で、ごく普通の家庭でした。父が神職の資格を取ったのは40手前で、親孝行のつもりだったんじゃないかな。
その後、地元の総社宮も頼まれ、父は熱心に神社の文化や歴史を研究するようになりました。が、僕が高校生の頃、総社宮が火事で焼失した。後に放火と判明しますが、当初は父の管理責任が問われ、つらい思いをしたようです。総社宮再建が、父の悲願でした。
僕は東京でベンチャー企業を経営していましたが、父にがんが見つかり、親孝行のつもりで資格を取り、年末年始に神社を手伝うようになった。地元の人に神社を頼まれることが増え、いろいろと考えているところに、東日本大震災が起こったんです。心を決めて、その夏、地元に帰りました。数年前、総社宮の再建がかない、父の後を継いで宮司になりました。