
俳優でユニセフ親善大使の黒柳徹子さんは、元祖パンダ博士としても知られ、日本パンダ保護協会名誉会長も務めるほど筋金入りのパンダファン。そんな黒柳さんならではのパンダにまつわるエピソードとは?
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「あら、そうなの!」なんて、パンダの話を聞いてくださったのは森光子さんくらいでしたね。だれも興味がなくて。日本にパンダが来るまではそんな感じ。パンダファン歴は70年以上になりますけれど、最初の30年は本当に「ひとり追っかけ」でした。
1968年にロンドン動物園にパンダを見に行ったときも、モスクワからオスのパンダが結婚(子作り)のため来ていたので「あの結婚、うまくいくかしら」なんて言っていたら、週刊誌に「変な動物の結婚を心配するより、黒柳徹子は自分のことを考えたらどうだ」って。ちゃんと「パンダ」って言っているのに「変な動物」と書かれたんですよ。それくらいみんなパンダを知らなかった。
その4年後、日中国交正常化の贈り物としてパンダが日本に来たわけですけれど、私は田中角栄さんが中国に行かれるとわかったときに事前に電話しようか、すごく迷ったんです。というのも、同じ年にアメリカのニクソン大統領が中国を訪問しパンダを贈られていたことを当時、ニューヨークに留学していたから知っていた。ワシントンの動物園にさっそく見に行くと、それは大変な人気で、そこで目にしたんです。パンダ舎の外に「大熊猫・中華人民共和国・北京革命委員会贈」と書いてある箱があるのを。羨ましかったです。
だから角栄さんが行かれたら、もしかすると「日本にも」という話になるかもしれない。そうなったら、希少でかわいい動物なので「大いに喜んで受け取ってください」とご助言したかった。でも、一国の首相が国の大事な話をしにいくというのに、そんなことで電話するなんて見当違いかしらって遠慮したんです。
そうしたら、果たせるかな。中国側からパンダ(大熊猫)贈呈の話が出たとき、当時、外務大臣だった大平正芳さんは「パンダって何ですか? 熊と猫の間に生まれた子どもですか?」って返答してしまった。すごく残念でした。「電話しておけば良かった……」って本当に後悔しましたね。