しかし、当時の野菜海苔はまるで紙を食べているようなゴワゴワした食感で、成功しなかった。この海苔メーカーは間もなく廃業したが、早田さんはこの商品だけは残したいと事業を受け継いだ。
食感の問題を解決したのが、長崎女子短期大学との共同研究だった。酵素分解の技術と寒天を活用することで、パリッとした食感と口に入れるとやわらかくなる本物の海苔のような食べやすさを実現したのだ。
現在、量産化できているのは人参と大根のシートだけだが、18年の春までにはトマト、かぼちゃ、パプリカ、バジル、梅干し、レモンの本格販売を予定している。
「どれもしっかり野菜の色と味を再現できています。梅干しは酸っぱくて塩辛いのですが、良いアクセントになるのか海外での評判が上々です」(同)
近年は糖質を減らすダイエットや、グルテンフリーの食事法が流行中だが、ベジートは原材料が野菜と寒天だけというシンプルな商品なので、こうした食生活にも取り入れやすいという。
製造過程で加熱するためビタミンCは減少するが、それ以外の栄養素と食物繊維はキープされるという。賞味期限は1年間、常温保存が可能なことから野菜の栄養を摂取できる保存食としても注目される。