

タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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オーストラリアでは、12月が学年末。我が家では次男が小学校を卒業しました。パースに引っ越して2年目の4年生から転入した地元の公立小です。いい友達がたくさんできました。
去年のはじめ、次男は何を思ったか「僕サッカーやめて勉強する」と、学区外の公立ハイスクールの試験を受けることを決断。それから1年間頑張った甲斐あって志望校に合格したものの、地元の学校に進む仲間たちとお別れするのがにわかに寂しくなり、どっちに行こうかと悩んでいました。結局地元校には進まない決断をしたので、仲良しのみんなといるのもこれが最後です。2月からは、新しい仲間との生活が始まります。
私も中学から遠くの学校に進んだので、その気持ちはちょっとわかる気がします。好きな子と会えなくなるのは寂しかったなあ。
卒業式の日のスケジュールは盛りだくさんです。朝から学校の集会ホールで式典をし、終了後は校庭で大学生みたいな帽子投げのセレモニー。そのあとバスに乗ってみんなでボウリングに行き、レストランでランチです。一旦帰宅し、夕方からは学校で開かれるダンスパーティーに繰り出します。ボウリングとランチ代で60ドル(約5100円)を事前に学校に納めました。
次男の友達のお母さんが「ダンスパーティーに行く前に、仲良しのみんなで貸しリムジンに乗らない?」と誘ってくれました。シティーをひと回りドライブするプランです。一人30ドル(約2550円)は高いけど、お祝いだからいいか。車の中では案の定、大はしゃぎしたそうです。
よれた制服のポロシャツから新品の柄シャツに着替えて、ちょっとおしゃれした次男。照明を落とし、すっかりディスコ化した集会ホールで誰かと手を繋いで踊りながら、切ない思いをしたのかな。
親もまた、ついに我が家から小学生がいなくなったのかと、感慨深い夜でした。
※AERA 2017年12月25日号