お笑いコンビ・カラテカの矢部太郎さんの漫画『大家さんと僕』は、階下に住む大家さんとの“二人暮らし”を描いた作品だ。矢部さんと、どこか浮世離れしている大家さんは、漫画のヒットをどう感じているのだろうか。
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「ただ好きだった大家さんの話を好きなように描いて、それが僕以外の人に好きだって言ってもらえるなんて、あんまり考えてなかったんです。いや、考えてなくもなかったですけど、現実的にそうなったってことが、ちょっとなんか不思議な感じがしますね」
お笑いコンビ・カラテカの矢部太郎さんが、階下に住む大家さんとの“二人暮らし”を描いた『大家さんと僕』が発売1カ月足らずで11万部を超え、さらにヒットを続けている。「ごきげんよう」と挨拶する、上品でどこか浮世離れしている80代の大家さんと、初めは距離の近さに戸惑いながらも仲良くなっていく芸人の僕との日常が、優しいタッチの漫画で綴られていく。言うこと、やること、いちいちチャーミングな大家さんの人柄と、それを絶妙な距離感ですくい取っていく矢部さんの画力と構成力が相まって、老若男女から熱く支持された。
「僕、お笑いを20年やってきたんですけど、それまでいただいた『よかった』って声を2週間で軽く超えましたね(笑)。大家さんにも読んでほしいと思っていたので、そこは伝わるようにと思いました。逆に年下はまったく想定していなかったので、子どもも読んで面白いって言ってたよとか、笑ってたよとか言ってもらうと、あぁそうなのかって」
この本がきっかけで、舞台で共演した小松政夫さんからも飲みに誘ってもらうようになったとか。