別居中、ときどき娘のために3人で旅行をした。「ママ、好き。3人で暮らしたい」。無邪気にそう話す娘の言葉を聞くと胸が詰まる。今は口では「娘が一番」と言う元妻だが、その言葉を真正面から信じることはもうできない。娘に「血がつながっていない」と、真実を告げるかどうかにも悩む。
「もし妻に渡すことになれば、自分が本当の父親でないことを話さないと、離れて暮らす理由を娘に納得してもらえない」
正直、男性には「自分自身の本当の子どもが欲しい」という思いもある。娘を引き取れば、再婚して別の女性と子どもをつくるハードルは高くなってしまうかもしれない。まだ32歳。やり直しも利く年齢だ。
友人や先輩に相談するが、人によって答えは違う。同世代は「娘を引き取るべきだ」と言う人が多いが、40代や50代の先輩からは「独り身になってやり直せば?」と言われることも。
「毎日どうすべきか考えますが、日々、答えが変わるんですよね。娘はかわいいですが、感情だけでは決められません」
(編集部・市岡ひかり)
※AERA 2017年12月4日号より抜粋