過去には広告会社に頼んで派手な広告を作ったこともありました。でも私は、それはやらないと決めました。大事なのは、法政とはどんな大学なのか、自分たちで言葉を積み重ねてブランディングしていくことです。ブランドとは有名になることではなく、「こんな学生を育て、こんな考えで研究をしています」という「社会への約束」です。



 それを明確にするために教職員や卒業生を交えて何度もワークショップを開きました。続けていくと驚くほどいろいろな言葉が出てくるのです。それが「法政大学憲章」という形に結実しました。

 何よりブランディングのプロセスを教職員が共有したことで、一人ひとりが自然と法政の良さを発信するようになり、学生たちも誇りを持てるようになってきました。これは広告会社任せではできなかったことだと思います。

──18歳人口が減少する中で、大学が生き残る条件とは何だと思いますか。

 国内の大学同士で競争することには、意味がありません。それよりも協力することです。今年9月に法政は明治大学、関西大学と連携協力協定を締結しました。実は3大学は建学の時期やボアソナード博士を学祖とする法学教育をルーツに持つことなど共通点が多いのです。そこで教育や研究、学生の交流、留学生の受け入れ、産学連携など幅広く協力していくことにしました。大学ごと統合しなくても、共同でできることはたくさんあるはずです。
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