教育ジャーナリスト木村誠さんは言う。
「短大が共学化して4年制大学になった大都市郊外や地方の大学で、短大教育をそのまま延長したようなケースは、総じてうまくいっていない。就職先も広がっていない。地の利が悪いところはさらに苦しい」
医療、福祉、看護など、地域に就職先があるかどうか、地元ニーズを満たすかどうかが大きいという。
「収容定員充足率」の3年平均が30%だった松蔭大学の前身は松蔭女子短期大学。00年に4年制の松蔭女子大学になり、04年に共学化して改称した。神奈川県と東京都に五つのキャンパスがあるが、メインの「厚木森の里キャンパス」は小田急線本厚木駅からバスで約20分。17年5月時点で、収容定員2172人に対して在籍学生数は674人だ。この状況について尋ねると、大学側はこう回答した。
「19年度募集から、学科廃止を含めて検討を行っている。借入金もなく自己資金比率は高いので、財務上の心配はない。科研費の取得額、取得率共に向上しています」(入試広報課)
地方私立大学はどうれば生き残れるのか。石原さんは、生き残る道は二つだという。
「有力私大の系列に入るか、地方の専門学校の需要を取り込むか。前者の場合は、WIN-WINになれるように財務基盤をしっかりと保っておくこと。後者の場合は、地元企業に就職できる専門性を獲得できる独自のカリキュラムを構築することが肝要です。ビジネス感覚を持った職員の養成も急務でしょう」
(編集部・作田裕史)
※AERA 2017年11月27日号より抜粋