C:選択肢が増えたからこそ生まれる不幸な結果もあるでしょうね。緩和病棟に入られる患者さんでも、自分でネット情報などを収集して、免疫療法や高い薬を試されたという方は少なくありません。何かにすがりたい気持ちはわかりますけど、例えば夢のがん治療薬などと言われているオプジーボは事前に効果が予測できません。それなのに1回で300万円もかかって、3回は続けないと効果が見えてこないとされている。数年もすれば遺伝子プロファイルで効く人、効かない人の判断ができるようになると言われているのに、「すぐに試したい」と1千万円用意して病院に来られる方もいます。こういう“がん治療難民”は見ていてつらいです。

B:救急車で病院に運ばれてしまって、家族が後悔するっていうケースも非常に多いです。

──どういうことですか?

B:在宅の場合、患者さんが「延命治療はしないでほしい」と希望されるケースが多く、緩和ケアが主体になりがちですが、病状が急変すると家族が救急車を呼んでしまうことがあるんです。でも、救急隊は必ず延命治療を施し、病院に搬送しようとします。当然、病院でも患者さんの希望に関係なく延命治療が行われるので、「最後に苦しい思いをさせてごめんね」と救急車を呼んだことを後悔する家族が多いんです。病院に運ばれて24時間以内に亡くなると、事故死扱いで検死が必要になるから、二重に後悔するケースもある。

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