どこか浮世離れした仏様というより、「人間」を感じさせる作風も、度重なる戦に巻き込まれ、明日をも知れぬ不安のどん底で、今すぐ仏様にすがりたいと思う人々の心をつかんでいった。それから運慶は、当代一の人気仏師として、全国にその名をとどろかせるようになったと言われる。

 そうしてあらためて晩年の作品を見てみると、その仏像のカッコいいこと。運慶作品にならって実際にポージングすることで、運慶作品のパワーの秘密を探った「北斎ヨガ」考案者のオカザキ恭和さんも言う。

「北斎漫画に描かれた庶民のポーズと比べると、とくに立像は上半身にパワーがあるのが特徴。厚くて張りのある胸板から眉間にかけて力強さがあり、『真を見よ』と訴えかけてくるようです。堂々として頼りがいがある。精神的に支えてくれそうな仏様だとポーズをしてみて思いました」

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