東京・上野の東京国立博物館で開催中の「運慶」展。連日、多くの人々が押しかけて、行列が絶えない。800年にわたって人の心をつかんでやまない人気の理由とは。
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運慶のアーティストとしての力量を、たまたまやってきた時代の変換点が開花させる。
運慶の一番すごいところは?
そんな質問を、来年1月から特別展「運慶 鎌倉幕府と霊験伝説」を開催予定で、今回の「運慶」展にも協力している神奈川県立金沢文庫の主任学芸員・瀬谷貴之さんにすると、こんな答えが返ってきた。
「卓抜した技量はもちろんのこと、その才能が、時代や政治とシンクロしていったところがすごいですね」
平安末期から奈良仏師として活躍していたとされる運慶に、パラダイムシフトの波が味方する。華やかな貴族のパラダイスだった平安時代が終わりを告げ、武士の時代、鎌倉時代がやってくるのだ。
平安時代は、京都の仏師たちが造っていたような、貴族が好む優雅な作風を取り入れた仏像も造っていた運慶だが、鎌倉時代になると、武士の時代の人々の心をつかむ躍動的な仏像の注文が殺到した。