「家でやるのと同じようにしか作れませんよ」と言って番組に出て、いつものように湯むきしたトマトを手でつぶしたら、賛否両論の議論が巻き起こっちゃって。番組プロデューサーはかなり困ったみたいね。ところが、しばらくして新聞に「平野レミの料理はユニークで、とても楽しい」という声が載ったら、1回きりの出演のつもりが今日まで続いちゃった。

「きょうの料理」はドライリハーサルがあって、カメラリハーサルがあって、それから本番。丁寧なんだけれど、私はだんだんパワーがなくなっちゃう。本番が一番元気がなくなるの。だから今度「20分で晩ごはん」に出るときは「カメラリハーサルなしでぶっつけ本番でやらせて」って言おうと思ってる。もし途中で失敗したら「ごめん」って正直に謝ってやり直せばいいのだし。恥ずかしいことなんてなにもない。失敗もあれば、成功もある。それが家庭料理というものじゃない? 

 私のことを「歩く放送事故」って言う人もいるみたいだけれど、私がテレビに出ると「レミが出るぞ。待機!」っていっせいにツイッターで拡散されるんですって。料理は楽しむもの。テレビを見ている人と一緒にその気持ちを味わいたいですよね。
(編集部・石田かおる)

AERA 2017年11月13日号

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