筒井:私も人材交流が日本の閉鎖性を打ち破る一番のきっかけになると思います。日本からの留学生を増やす、日本への留学生を増やす。留学生だけではなく研究者もそうです。
特に日本では社会の制度、システムは簡単に変わりません。若者たちのマインドセットを変えるのもそんなに簡単ではないでしょう。
しかし、リスクをいとわず、今ある壁をぶち破る気力のある若者は、必ず一定程度出てきます。そういう人たちをどんどん応援してほしい。やる気と才能のある若者が、たとえ失敗したとしても温かく見守ってほしいと思います。
もし、そういう若者たちがなにかで成功したら、日本人みんなが得をするはずです。日本だけでなく世界もそうです。すごい発明で世界が救われるかもしれないし、特許で日本全体が恩恵を受けるかもしれません。とにかく頑張っている人の足を引っ張らない日本社会になってほしい。そう願っています。
中内:サッカーや野球、バスケットボールなど、日本人選手が海外で活躍しています。彼ら彼女らは日本のプレゼンスを上げていると思うし、その存在は妬みの対象ではなく、若者たちにとって格好のロールモデルになっていると感じます。
筒井:科学もスポーツと同じ面があります。ここ15年ほど日本人がノーベル賞をかなり取っています。これは中内先生がおっしゃったように、かつて日本の研究者が大勢海外に出ていたころの成果といえるでしょう。裏を返すと、日本から海外に出て交流する研究者が減ると、重要な研究を発信できる日本人が減ってしまうということです。ビジネスも同じでしょう。やはり海外の舞台で挑戦してみることが大事だと思います。
中内:日本の若者には東京大学や京都大学を目指すのではなく、ぜひスタンフォード大学を目指していただきたい。優秀な人は優秀な環境で教育を受ければ、さらに優秀になります。日本で教育を受けることが本当にいいのかどうか。日本の超一流大学も常に考えないといけない問題でしょう。
筒井:多様な考え方に触れるという意味では、日本とアメリカの大学には大きな差があります。特にスタンフォードには選りすぐりの精鋭たちが集まっています。私たちが勤めている大学なので、どうしたって一番のお勧めになりますね(笑)。