経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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さて、いよいよ総選挙であります。この機会に次期政権がやるべき政策を提言しておきたいと思います。
まず消費税増税はノー。先日も指摘したように、国内総生産(GDP)の約60%をも占める個人消費を直撃することになります。野田政権が8%への消費税増税を決定したことで(その後安倍政権に引き継がれる)個人消費がどれだけ打撃を受けたか、データはいくらでもあります。さらに消費税は逆進性が強いために、若い世代に多くの負担がかかることも考慮せねばなりません。特に育児にかかわる出費や、車や住宅などを買う必要のある世代には極めて負担の重い税制と言えます。
一方で400兆円にも及ぶ企業内部留保を使わせるアイデアはありでしょう。安倍首相は安定財源にならないと否定的ですが、日本の上場企業で海外売上比率が50%を超える、いわゆる純粋な輸出企業はわずか8%、200社ほどしかありません。ほぼすべての企業が日本というマーケットで食べているわけです。日本人の消費があって初めて成り立っているのですから、その企業から税を取るというのは極めて合理的と言えます。
これも一度書いたことですが、教育国債も一刻も早く出すべきでしょう。教育の無償化という話になると必ず財源が……という話になるのがおかしい。道路や橋が国のインフラになり、国の将来を支えるという理由で建設国債の発行を認めているなら、まさに国の将来を支えるべき人材を育てることは究極の先行投資。これを認めないのであれば国の将来をあきらめていると言っても過言ではありません。
移民政策もさっさと考えるべきです。特に日本の難民受け入れ率の低さは目を覆うばかり。国を追われた人たちを日本で救済し、日本人として受け入れるということに問題があるのでしょうか。難民になった証拠を出せ、などと言うらしいのですが、そんなもん、出せるなら苦労はない。着の身着のまま逃げてきている人たちを保護することは重要なことです。問題は人種差別にあるわけで、難民受け入れそのものではありません。最低、子どものいる家庭と限定してもいいので彼らを日本人として育てることで、世界に貢献できることは間違いありません。この問題こそ、まさに政治のイニシアチブが問われるのではないでしょうか。
※AERA 2017年10月23日号