10月9日、東京・新宿のアルタ前広場で行われた「ボトムアップデモクラシー」で演説する枝野氏。特にスマホでライブ配信する人が目立った(撮影/編集部・竹下郁子)
10月9日、東京・新宿のアルタ前広場で行われた「ボトムアップデモクラシー」で演説する枝野氏。特にスマホでライブ配信する人が目立った(撮影/編集部・竹下郁子)

 2013年のネット選挙解禁後、2度目の衆院選。主戦場はSNSだ。自民党などが消極的に見える一方で、戦う姿勢を示す人たちがいる。

 保守派の評論家、古谷経衡さんは、14年の衆院選に比べてSNSでの保守層の盛り上がりは小さく感じるといい、自民党自身もドブ板選挙に回帰していると話す。

「ネットに集票効果が多少あるのは参議院の全国比例くらい。選挙区が細分化された小選挙区制では、いくらネットで響いても勝敗には影響しないと分かってきたんじゃないでしょうか」

 ネットに消極的になっているのは自民党だけではない。

 希望の党は「ガバナンス長」という独自の役職を設け、SNSでの発信を統制すると報じられている。小池氏は自民党時代、広報本部長として、SNSなどの書き込みを監視・分析し、誹謗中傷には法的措置や削除依頼をするネット選挙の特別チーム「Truth Team(T2)」を指揮していた。

 都民ファーストの会を離党したばかりの音喜多駿都議は、

「言論統制はある意味、自信のなさの表れ。もっと周りを信頼してほしかったです」

 と小池氏への複雑な思いを語る。同会では、組織内で決まっていないことや混乱を招くようなことは発信しない、党に不利益を与えた場合は処分もあり得るという縛りがあったという。

「政治家のSNSは有権者が過去の発言の不一致などを検証するための判断材料になります。中長期的に見れば政治の質を向上させるはず。新たな政治のツールとして積極的に活用すべきです」(音喜多さん)

 しかし、政治家の発言や投稿には人種・性別・障害者などに対する差別やフェイクニュースが含まれるものもある。これに警鐘を鳴らすのが、約40人の大学生・大学院生らからなる団体「反レイシズム情報センター(ARIC)」だ。衆院選立候補者の過去の発言などを元にした「ヘイト政治家データベース」をネット上で公開している。

 代表の梁英聖(リャンヨンソン)さん(35)は言う。

「政治家がヘイトや差別発言をすることで人々がまねをする、ということが多いんです。いかに政治空間から差別扇動が行われているかを可視化したかった。投票するときの判断基準にしてほしい」

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