フィギュアスケート世界女王であるエフゲニア・メドベージェワがAERAの表紙を飾った。撮影で見せたその素顔とは。
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「どんな感情を持てばいい?」
表紙撮影では、自分をどう見せるかにこだわった。目をどの程度開くか、歯を見せたほうがいいのか、手の角度は……。そして心の状態までも、撮影者の意図を聞き出そうとした。
「コーチのエテリさんに『女性は必ず髪も化粧もきれいにしないといけない』と言われ、11歳の頃からまつ毛をつけ、マニキュアやメイクをしてきた」
メイク時間10分でホテルを出てきたというが、その完成度の高さは編集部が用意したメイク担当者が驚くほど。リンクではそのしぐさと表情、滑りの緩急で物語を演じ、観客を引き込んでいく。回転が速いジャンプと正確な技術も得点源だ。
平昌五輪の女子フィギュアで最も金メダルに近い選手だが、五輪の目標を口にすることを嫌う。10月7日にさいたま市であったジャパンオープン後の記者会見でも、「五輪の質問に答えるつもりはない」。ロシアには、「願いごとを人に話すと叶わなくなる」という言い伝えがあるという。答えないのは、強い思いの表れなのかもしれない。
宮崎駿アニメを見てのめり込み、自らを「アニメオタク」と称する。撮影日には、「美少女戦士セーラームーン」のキャラクターをあしらった私服とカバンで登場。撮影中は、「大きな趣味」という韓流アイドル、EXOや東方神起の曲をかけてテンションを上げた。
オフの楽しみは、友人とスパに行くこと。写真やメッセージを交換して世界の友人たちとも交流する。
「日本人だけじゃなく、フィリピン、中国、カナダ、フランス、いろんな国の友達と連絡を取り合っている」
氷を降りれば、多趣味で人なつっこく、何にでも興味を抱く多感な17歳。日本語で「私はおなかがすいています」と言い残し、スタジオを後にした。(朝日新聞スポーツ部・後藤太輔)
※AERA 2017年10月23日号