石山 例えば、シェアハウスのメンバーで誰か交通事故にあったとき、どこまで治療費を出せるか。1千万? もっと? 強要はしませんが、そういうところまで話しあえる関係が必要だと思います。

荒川 シフトのようなコミュニティって、昔は日本にもあったんだと思います。江戸時代の長屋に似ているかなと。有象無象の人が一緒に暮らしている。一緒に洗濯をしたり、食事を作ったり。自分ができることを交換し合う関係ですね。

 シェアリングが根付く民俗的な土壌は日本にあるのだと思います。

石山 そうですね。お隣さんに「おしょうゆ貸して」というコミュニティは少し前までありましたし、今はシェアリングエコノミーがそうした関係を可能にしてくれています。

荒川 必要に応じて集まったり、助け合ったりする「接続するコミュニティ」というのも大事だと思っています。

 刹那的にでも人とつながって、自分の気持ちや考えを伝えあう。そして、新しい自分を発見する。そういうことの積み重ねで、人生の満足度は変わってくると思います。

(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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