
荒川 入居には事前に面談をすると聞きました。どういったところを見ているのでしょうか。
石山 お見合いのような感じです。経済的にどれだけ稼いでいるかなどは問題にしていません。生活の中で様々なものをシェアしますので、その人が依存先としてシフトを選んでいないか、というのは見ていると思います。また、価値観が異なることが前提なので、ケンカや意見の対立が起きることもあります。そのとき話し合いを諦めない姿勢を大事にできるかどうか、自分も内省する意識を大事にできるかどうかは確認していますね。
荒川 シフトでは、子どもの面倒もシェアするんですか。
石山 そうですね。急用ができて「誰か子どもを見ててくれない?」といった連絡がSNSに流れるので、私も面倒を見させてもらうことはあります。
私自身、シフトで子育てにかかわり始めて、心理的な変化が起きて驚きました。血はつながっていなくても、本当にかわいいです。困っていれば助けてあげたい、喜んでくれたら嬉しい、将来の目標が出来たら応援したい、そんな気持ちが出てきました。自分も実家がシェアハウスで、血のつながらないお兄さんやお姉さんが出入りするような家で育ったので、子どもの頃の自分をみているような気分です。
荒川 子育てにかかわりたくて、入居を希望する方もいるのでしょうか。
石山 オープンリーゲイ(同性愛者であることを公表している人)のメンバーが「今の日本で子どもを育てられるイメージが湧いていない。だから、子どもに関わってみたいという理由もあってシフトに入った」と言っていました。
荒川 子育てもシェアすることができるんですね。
石山 はい。他にも「AsMama」というシェアサービスでは、顔見知りのママたちがアプリ上でコミュニティを作って、子育てをシェアしています。「この時間帯に子どもを見てほしい」とアプリで要望を出すと、都合のつくメンバーが「預かれるよ」とマッチングする仕組みです。かつてあったようなママ同士の助け合いのコミュニティを、サービスで再現できるようになったということです。子育ての時間やスキルを貸し借りするシェアリングエコノミーです。