じゃあ「家族ってなんだろう?」とあらためて問い直した時、答えのひとつが見えてきた。
「血がつながっていようがなかろうが、相手の幸せを心から願ったり、無事を祈ったりするのが家族の証しなんじゃないかなって。結局、家族を描くことイコール愛を描くことなんですよね。特にサビの部分は、自分が考える愛や真心をすごく素直に、混じりっけなく歌に定着させられた気がするんです」
ただ 幸せが
一日でも多く
側にありますように
サビで繰り返されるこのフレーズには、あらゆるものをそぎ落としてひときわ純粋になった、星野源の切実な思いが重ねられている。
●厳しさを知るからこそ
恋愛の多様性を歌にした「恋」と同じく、家族の多様性をつづった「Family Song」も、未来すら射程に入れた今の時代の歌だ。そこにノスタルジックなムードは微塵(みじん)もないが、でも聴けば聴くほど、センチメンタルな気分になって胸をギュッと締めつけられる。
「幸せでありますようにと願うのは、その裏で現実の厳しさを知っているからだと思うんです。相手を真心から思いやる気持ちと、それが日常の世知辛さを伴ったものだということと、二つのラインで響く歌詞ができたので、単に幸せを訴える歌ではないものになったなって」
「Family Song」が多くの人の心と共鳴しますように。いや、絶対に、きっと。(ライター・門間雄介)
※AERA 2017年8月14-21日号