5人がお互いの弱点、欠点を補い合い、力を合わせて戦うというスタイルは、当時は斬新で、視聴率20%を超える大ヒットとなった。以来42年、現在放映中の41代目「宇宙戦隊キュウレンジャー」までほぼ毎年、ニューヒーローが誕生し、世界を守り続けている。制作会社である東映の幹部が語る。

「スーパー戦隊などの特撮作品は、撮影クルーにプラスして造形班、CG班、アクション班、特撮班、4班に分かれて制作します。大勢のスタッフで、一般の番組の数倍の制作費をかけて子ども番組を制作している国は、世界中どこにもないでしょう」

●絶妙なマイナーチェンジ

 長寿番組となった要因を、特撮作品に詳しいフリーライターの用田邦憲さんはこう分析する。

「すごいと感じるのは、誕生した時点で演出のフォーマットがほぼ完成していたところ。色分けされた5人(複数)が集合した時に最も力を発揮するというシンプルな世界観。その基本を守りながら、1年間でモチーフも役者も切り替わる作品なので、時代に合った要素を取り入れて絶妙なマイナーチェンジを繰り返しています」

 その一方で、視聴率の低迷、打ち切りの危機は何度もあった。そのたびに工夫を施し、ピンチを乗り越えてきたという。
「『科学戦隊ダイナマン』ではデザイン面の刷新を図り、アニメ界で活躍していた気鋭のデザイナーを起用して、悪役キャラクターの魅力を強化。女性戦士を2人にした『超電子バイオマン』は女性視聴者の人気が上がり、玩具のラインアップにも変化が生じました」(同)

「鳥人戦隊ジェットマン」ではドラマパートを強化した。

「ヒーロー同士の対立や恋愛ドラマの要素を取り入れました。当時はトレンディードラマがはやっていたこともあり、戦隊ものを卒業していた人も関心を示し、多くのファンを獲得することになったのです」(同)

 2000年代に入ると、イケメン俳優を起用し、母親層から支持を集め、その流れは今も続いている。

「変化を恐れない制作体制が逆境を乗り切る要因であったことは間違いないでしょう」(同)

AERA 2017年7月24日号