

世界にはばたいた“クールジャパン“が今夏、日本に逆上陸する。7月15日公開の映画「パワーレンジャー」は、20年以上、アメリカで戦い続けてきた“アメリカ版スーパー戦隊“だ。ロングヒットを続けるまでに成長した秘訣をひもとく。
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東京都港区の新橋駅前のSL広場から徒歩3分ほど。雑居ビルの地下に下りると、小さなバーがある。「特撮ヒーローBAR 俺の部屋」。11席のカウンターだけの店内には「スーパー戦隊シリーズ」をはじめ特撮ヒーローのグッズや出演者のサインが2千点近く飾られている。ファンだけでなく、業界関係者も訪れる“聖地”だ。
店長の小西勇輝さんは、「生まれた時から観ていた」というほど、スーパー戦隊の大ファン。マイベスト戦隊は「忍者戦隊カクレンジャー」だ。スーパー戦隊というと子ども向け番組のイメージが強いが、小西さんは思春期になっても、そして今でも毎週観ている。
「子どものころは、アクションやポーズなど、カッコよさに憧れていました。実はストーリーもよく練られていて、物語に込められたメッセージや心に響くセリフなど、大人になって改めて観ると気づくことも多いです」
●巨大ロボは男のロマン
特撮ヒーローはたくさん存在するが、スーパー戦隊だけが持っている魅力があるという。
「チームで戦うことです。協力し合うことでさらに大きな力になる。団結力の素晴らしさは戦隊から学んだ気がします」
同店のスタッフで、マイベスト戦隊は「侍戦隊シンケンジャー」という神崎さんもこう話す。
「人間関係で落ち込んでいるとき、助け合いっていいなって、勇気づけられた」
そして、団結力というものをビジュアル化したものが巨大ロボだと2人は口をそろえる。
「巨大ロボは合体式。5人がそろい、心をひとつにすることで初めて完成します。いわば団結力の象徴です。うちの常連さんのなかには“巨大ロボは男のロマン”という方もいます」
スーパー戦隊が誕生したのは、今から42年前の1975年。すでに放映されていた「仮面ライダー」の成功を機に、思い切ってライダーを5人に増やそうというアイデアの延長線上に「秘密戦隊ゴレンジャー」が誕生した。