サバン:アメリカの子どもに受け入れられるようにコメディーを取り入れたハイスクールドラマ仕立てにしました。

鈴木:譲れなかったのは、戦士が“名乗り”を上げるシーン。日本の武士は、戦場などで自分の氏名などを声高に敵に告げます。しかし、当時のディレクターに「アメリカはウェスタンの国だし、名乗る前に撃たれてしまう」と言われました(笑)。でも、武士が決闘の際に名乗る時代劇の名残だから、絶対に外せないと説得しました。

サバン:シリーズに揺るぎない精神があるからこそ、ブランドを守りながら拡大していくことができるんですよ。

鈴木:転換期と呼ぶほど急激な変化はなかったけれど、常に変化していくぞ、という気持ちはありました。バイオマンでは、女性戦士を5人中2人にしました。きっかけはファンの女の子からの手紙でした。「いつもピンクのピンチをレッドが救うけれど、なんでレッドのピンチをピンクが助けることがないのですか」と。頭をガーンと殴られた気がしました。

サバン:確かに、スーパー戦隊シリーズは、女性戦士をいち早く取り入れました。

鈴木:つい男性優先になってしまっていたんですね。スポンサーから女性5人もありじゃないかという声が聞こえてきたほど。実は、これが「プリキュア」シリーズのヒントになったと聞いています。

(構成/ライター・三橋ゆか里)

AERA 2017年7月24日号

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