自民党が国政選挙の締めくくりに選ぶ秋葉原。聖地に響いた「安倍やめろ」コールは、安倍首相から「こんな人たち」発言を引き出した。その余波が収まらない。
東京都議選の自民惨敗で、潮目が変わった。閣僚や自民党議員の失言、暴言に加え、選挙戦最終日の7月1日、東京・秋葉原の遊説で飛びだした安倍晋三首相の発言が再び注目を集める。
「こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかない」
安倍首相は都議選初の街頭遊説に立っていた。聴衆の一部から「安倍やめろ」のコールが起こり、カーッと来たのだろうか。その言葉を間近で聞いていた自民党都議選候補者だった中村彩さん(27)は、こう振り返る。
「壇上から見ていて『安倍やめろ』と書かれた横断幕の周りでコールをしていたのは全体の5%程度。私の演説のときからコールは起きていました」
●退陣求める緊急デモ
首相演説が始まると、
「横断幕周辺以外の人にも演説が届きづらいほど大きくなっていた。あの場は自民党が場所を借りた演説会。大多数は話を聞きに来た人であり、多少の礼儀は持ってほしかった」(中村さん)
ただ、有権者を“敵”と“味方”に分断した安倍首相の乱暴な物言いに、違和感を持った人は少なくなかった。
いったい「こんな人たち」とは誰なのか。都議選後の9日、「安倍政権に退陣を求める緊急デモ」があり、「安倍やめろ」横断幕が再び姿を現した。デモの集会に駆けつけた民進党の初鹿明博衆院議員は、
「“こんな人たち”の集まりに呼んでいただき、私も“こんな人たち”の仲間に入れていただき、ありがとうございます」
そんなあいさつに会場は沸いた。デモ実行委員会のメンバーで、秋葉原に足を運んだ内装業を営む井手実さん(37)によると、デモは正式の主催団体はなく、事務局が日時と場所を設定した自由参加のスタイル。SNSで情報は拡散され、東京でのデモには8千人が参加したという。