持ち前のポジティブシンキングと意地で「大丈夫!」と強がり、無理をした結果だった。
この失敗による落ち込みは、毛ガニさんの心にも大きな影を落とす。不安や焦り、危機感といったネガティブな思いが、
「自分のインナーにどんどん入り込んでいっちゃう感じ」(前出の著書)。
外見にも、そんな折れる寸前の心情がにじみ出ていたのだろうか。ウォーキング中にやたらと警察官の職務質問を受けたのも、このころだったという。
●ふと気がつくと気絶
2003年の2度目の再発も、聞いているだけで痛い。
このときは手術はせず、当時、椎間板ヘルニアの最新治療法として広まりつつあった「何もしない治療」を選択する。文字通り、体の自然治癒力に任せて、いつ収まるともしれない激痛にただただ耐える。それだけの治療だ。
「痛みで眠ることもできず、ひたすら枕を抱いて痛みをこらえるんですよ。ふと気がつくと、気絶していることなんかもありましたもん」
ひー。
とはいえ、やられてばかりではない。最初の再発でどん底まで落ち込んだあと、毛ガニさんは腰痛と上手に付き合う方法をとことん研究することで、反撃を開始する。
医師やトレーナーなど腰痛のエキスパートを集めた「毛ガニ医療チーム」の指導のもと、ウォーキング、登山、水泳など、腰痛になりにくい体づくりをスタート。日常生活の過ごし方から服装、靴の選び方に至るまで、再発防止のための「生活改革」も始まった。
職質キャラを封印し、生来のポジティブシンキングに復帰したのもこのころだ。
苦しくても落ち込むことなく、
「不思議と、これができたら遊びに行けるとか、明るい未来をモチベーションにがんばれるようになったんですよね」
この頃には、腰痛予防まわりのツールについての自主研究も、もはやマニアの域に。
通販の「健康」という文字に敏感に反応する体質になり、買った腰ベルトはなんと30本以上。温泉ソムリエの受検を考えるほど、腰痛に効く温泉にも詳しくなった。