ライター福光は体の軸がグラグラなことにショックを受ける。「ミュージシャンも体の軸がしっかりしている人は長続きすると言われます」(毛ガニさん)(撮影/小暮誠)
ライター福光は体の軸がグラグラなことにショックを受ける。「ミュージシャンも体の軸がしっかりしている人は長続きすると言われます」(毛ガニさん)(撮影/小暮誠)
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どんな時でも毛ガニ体操(AERA 2017年7月10日号より)
どんな時でも毛ガニ体操(AERA 2017年7月10日号より)
毛ガニさんの腰痛グッズコレクションのごく一部。例えば、腰の調子に合わせて使い分ける腰ベルトは、夏用、冬用、車用、ライブ用(上段真ん中)などを取り揃える。低反発クッションやウォーキング用の靴、ソックスなども数多く試した(撮影/小暮誠)
毛ガニさんの腰痛グッズコレクションのごく一部。例えば、腰の調子に合わせて使い分ける腰ベルトは、夏用、冬用、車用、ライブ用(上段真ん中)などを取り揃える。低反発クッションやウォーキング用の靴、ソックスなども数多く試した(撮影/小暮誠)

 サザンオールスターズのパーカッショニスト、野沢秀行さんは、30年もの間、腰痛に苦しんできた。その腰痛知識や対処法はもはや、プロの域。教わった「付き合い方」は、人生訓にも通じる。

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 まずは見てほしい。この見事なへっぴり腰を。

 両足を前後に開いて腰を落とし、上半身を左右にひねる。たったこれだけのことなのに、体はもう、グッラグラ。いまにも倒れそうだ。

 師匠! こんなことさえできない私って、もしかしてヤバいですか?

「いえいえ、僕も最初の頃はそうでした。毎日続けていけば慣れますよ」

 ニコニコしながらそうなぐさめてくれたのは、ミュージシャン野沢秀行さん(62)。「毛ガニ」の愛称でも知られる、サザンオールスターズのパーカッショニストだ。

 そしてこのエクササイズは、毛ガニさんが毎日続けている体操、通称「毛ガニ体操」のほんのさわり。

「バス停で待っているときとか、ちょっとした空き時間にも、何かしら体操しています。筋トレ効果はもちろん、今日の調子はどうかな?と自分の体と対話するのにもいいんですよ」

●やたらと職質を受ける

 ミュージシャンに音楽ではなく体操を教えてもらい、生徒のほうがグッラグラ……。

 そんなミョーな状況にはワケがある。ビッグネームのミュージシャンである毛ガニさんは、実は30年という年季の入った腰痛のプロでもあるのだ。 

 31歳の若さで突如「椎間板ヘルニア」を発症してから、長期入院と手術、そして数回の大きな再発を経験し、いまなお腰痛との縁は切れていない。これまでに編み出した腰痛との付き合い方は、『腰痛に負けない体を無理せずつくる!! 毛ガニの腰伝説』(KADOKAWA)という本にもなった。

 生命に直接の危険はないとはいえ、「たかが腰痛」とあなどるなかれ。本につづられた毛ガニさんの腰痛人生は、それはそれは壮絶だ。

 例えば、最初の大きな再発に見舞われた1996年。腰痛に耐えてリハーサルには参加したものの、次第に座っていることすらできなくなり、サザンのライブに直前になって参加できなくなるという事態に陥った。

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