6月23日は戦後72年の沖縄慰霊の日。沖縄と「本土」の変わらない構図に風穴を開けたい──。そんな決意から、沖縄に集中する在日米軍基地を県外自治体で「引き取ろう」と呼びかける「基地引き取り運動」が本格稼働している。参加者は何に突き動かされているのか。
ゴルフウェア姿のトランプ大統領と安倍晋三首相がハイタッチで笑顔を交わす。
2月に行われたトランプ大統領就任後初の日米首脳会談。翌日の米フロリダ州での「ゴルフ外交」は、会談前に両首脳が交わした19秒間に及ぶ大仰な握手とともに、日米の「蜜月ぶり」を演出するのに十分だった。
共同声明には、「長期的で持続可能な米軍のプレゼンスを確かなものにするため」として、沖縄の米軍基地に関するこんな「確認」も含まれていた。
「両首脳は、日米両国がキャンプ・シュワブ辺野古崎地区(沖縄県名護市)及びこれに隣接する水域に普天間飛行場(同県宜野湾市)の代替施設を建設する計画にコミットしていることを確認した。これは、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である」
辺野古新基地建設の進捗を、日米関係の「潤滑油」として活用する構図はトランプ政権でも踏襲された。
●当事者抜きの茶番 米軍に変化の兆しも
だが、これは当事者抜きの茶番ともいえる。普天間飛行場の返還はもともと、1995年に沖縄で起きた米海兵隊員らによる少女暴行事件に端を発する県民の憤りに接し、「沖縄の負担軽減」の目玉として日米が合意したものだ。にもかかわらず普天間返還が、辺野古の海を埋め立てる「移設」問題へとすり替えられ、沖縄の民意を切り捨ててでも、「新基地建設」に邁進する政権のスタンスは明らかに倒錯している。そんな中、米側に「変化の兆し」も表れた。
「戦略的、運用的にも情勢が変わった。敵国の能力が力学を変えた」
5月24日。米議会上院歳出委員会の公聴会で、米海兵隊のネラー総司令官が沖縄に駐留する米海兵隊のグアム移転計画の見直し検討を明らかにした。
ネラー証言は、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展などを踏まえたものだが、そうであれば沖縄に部隊を集中させている米海兵隊の現状のリスク回避も不可避の課題のはずだ。海兵隊の部隊配置は北朝鮮から「より遠く」でなければならない、というのだから。