ただし、ルールは厳しい。炎天下の昼間、メトロ内でペットボトルの水を飲もうとしたら、他の乗客から「水は飲んじゃダメ。あれを見て」と声をかけられた。指された先には、
「飲食禁止 罰金100ディルハム(約3千円)」
の文字。このあたりは戒律の厳しいイスラム教の影響なのか。
●万博に2500万人
街を少し移動するだけで、建設中の建物の多さに気づく。ドバイ・ショック後に中断した開発プロジェクトもあるが、最近になって新たな開発が始まっている。理由はやはり万博だ。
ドバイ政府は万博に、現在の年間観光客数の2倍近くに相当する約2500万人の来場者を見込む。想定ではこの7割が海外からの渡航者だ。そこでいま、大量の訪問客を受け入れるための空港の拡張、ホテルや商業施設の建設、さらには運河の拡張、住宅の増設の工事も進んでいる。
「欲しいものを見つけたらその場で買いなさい。広すぎて同じお店に戻ってこられないから」
と言われるほど広大で、世界最大規模とされる商業施設「ドバイ・モール」も、さらなる拡張工事中だった。まるで、街全体が膨れ上がっていくようだ。
中東のほかの地域と比べると石油埋蔵量が少なく、資源に乏しいドバイ。砂しかなかった土地を開拓し、次々と建物を建ててきた。こうして、世界中から人と投資を呼び込み、交易や金融といったビジネスを発展させてきたのだ。
万博では「心をつなぎ、未来を創る」をテーマに掲げて人のつながりを作り出すほか、貿易拠点かつ金融都市のドバイらしく、テクノロジーによるイノベーションなどもアピール。新たな投資やビジネスも呼び込む大きなチャンスと沸き立つ。
ちょうどドバイ国際コンベンション&エキシビションで、中東最大の観光関連展示会「アラビアン・トラベル・マーケット」が開かれていた。
会場はまさに、熱気むんむん。世界150の国と地域から2500以上の政府や団体が出展していたが、ドバイ政府の巨大パビリオンが最も目を引いた。なかでも目立つ入り口正面に構えられたブースがドバイ万博。